歌碑人物伝
牛の歌
明けましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします。
さて、今年は丑年ですね!
実は私の干支は丑なんですよ。(年齢バレましたね)
ということで、今回は牛についての歌を2つ紹介します。
牛の歌とはどういう歌なのか?
それではものがたりをはじめましょう。
まずは、琉球古典音楽の「特牛節(くてぃぶし)」の本歌です。
「特牛節」は古典音楽の中でもポピュラーな歌で、よくお祝いでも歌われます。
おそらくこの歌で知った方もいらっしゃるはないでしょうか?
とぅちわなる まつぃぬ(常磐なる松は)
かわるくとぅ ねさみ(変わることはないだろう)
いつぃんはる くりば(いつも春が来れば)
いるどぅ まさる(緑の色がいよいよまさるばかりだ)
この歌は北谷王子が詠んだ歌です。
古今和歌集にも似たような歌があり、おそらくそこから感化されて詠んだのではないかと、琉歌全集に書かれていました。
たしかに格調高く、おめでたい日にぴったりな歌です。
しかし、この歌は「特牛節」の本歌ではありません。
この歌の本歌は次の歌です。
うふにしぬ くてぃや(おほにし〈読谷山間切の古名〉の特牛は)
なざちゃらどぅ すぃちゅる(なざちゃらが好きであるが)
わすぃた わかむぬや(われわれ若者は)
はなどぅ すぃちゅる(花が好きだ)
「特牛」は強健で重荷を負うことのできる雄牛のことです。
「なざちゃら」は琉歌全集では、「草の葉か木の葉か不明。本によって『なづち葉』『なさきやら』としたものがある。」と書かれていて、よくわかっていません。
素直に見ると、ただ立派な牛はなざちゃらが好きで、若者は花が好きと詠んだだけなのですが、この歌には裏があります。
実は若者が好きな花はものをいう花、つまり女性のことを言っているのです。
そのためか、お祝いで歌うには品がないと見られ、最初に紹介した「とぅちわなるまつぃぬ」の歌が歌われるようになったようです。
ちなみにこの歌ですが、読谷の残波岬と伊江島に歌碑があります。
写真は残波岬の歌碑です!


晴れている日は眺めも素晴らしく、灯台にのぼれたり散歩したりできるので是非行ってみて下さい。

次に紹介するのは遊女のよしやの歌です。
「よしやチルー」や「ゆしやチルー」という名前が一般的ですが、琉歌全集やいくつかの琉歌の研究書には「よしや(発音はゆしや)」と表記されています。
これについてはいろいろな説がありますが、説明するとかなり長くなります。
機会があればお話させていただきますが、今は琉歌全集にならい「よしや」とさせていただきます。
また、よしやの簡単な生い立ちや死後に詠んだという伝説の歌は「幽霊が詠んだウタ その1 よしや」https://enosan.ti-da.net/e9796871.htmlにあるので参考になさって下さい。
しまん とぅなどぅなとぅ(島中がしんとして静かで)
くばん すゆすゆとぅ(こば〈シュロ科の植物。沖縄の拝所などに多く生えている〉もそよそよと風に吹かれて)
つぃなじある うしぬ(どこかに繋いである牛が)
なちゅら とぅみば(鳴いているかと思うと)
「とぅなどぅな」や「すゆすゆ」など擬音の響きが豊かで、さすがよしやといった歌です。
そして、この歌には伝説があります。
それは、まだよしやが幼く、仲島の遊郭に売られる前のことです。
家にいたよしやは牛泥棒に家の牛が盗まれたことに気づき、この歌にはを詠んだところ、牛が鳴いて、場所を知らせたのです。
そして、よしやは牛を無事に取り返しました。
さて、今度は牛の歌を紹介させていただきました。
今年はもーっといい年になるといいですね。牛だけに。
では、これでものがたりはおしまい。
また次回に。
本年もよろしくお願いいたします。
さて、今年は丑年ですね!
実は私の干支は丑なんですよ。(年齢バレましたね)
ということで、今回は牛についての歌を2つ紹介します。
牛の歌とはどういう歌なのか?
それではものがたりをはじめましょう。
まずは、琉球古典音楽の「特牛節(くてぃぶし)」の本歌です。
「特牛節」は古典音楽の中でもポピュラーな歌で、よくお祝いでも歌われます。
おそらくこの歌で知った方もいらっしゃるはないでしょうか?
とぅちわなる まつぃぬ(常磐なる松は)
かわるくとぅ ねさみ(変わることはないだろう)
いつぃんはる くりば(いつも春が来れば)
いるどぅ まさる(緑の色がいよいよまさるばかりだ)
この歌は北谷王子が詠んだ歌です。
古今和歌集にも似たような歌があり、おそらくそこから感化されて詠んだのではないかと、琉歌全集に書かれていました。
たしかに格調高く、おめでたい日にぴったりな歌です。
しかし、この歌は「特牛節」の本歌ではありません。
この歌の本歌は次の歌です。
うふにしぬ くてぃや(おほにし〈読谷山間切の古名〉の特牛は)
なざちゃらどぅ すぃちゅる(なざちゃらが好きであるが)
わすぃた わかむぬや(われわれ若者は)
はなどぅ すぃちゅる(花が好きだ)
「特牛」は強健で重荷を負うことのできる雄牛のことです。
「なざちゃら」は琉歌全集では、「草の葉か木の葉か不明。本によって『なづち葉』『なさきやら』としたものがある。」と書かれていて、よくわかっていません。
素直に見ると、ただ立派な牛はなざちゃらが好きで、若者は花が好きと詠んだだけなのですが、この歌には裏があります。
実は若者が好きな花はものをいう花、つまり女性のことを言っているのです。
そのためか、お祝いで歌うには品がないと見られ、最初に紹介した「とぅちわなるまつぃぬ」の歌が歌われるようになったようです。
ちなみにこの歌ですが、読谷の残波岬と伊江島に歌碑があります。
写真は残波岬の歌碑です!


晴れている日は眺めも素晴らしく、灯台にのぼれたり散歩したりできるので是非行ってみて下さい。

次に紹介するのは遊女のよしやの歌です。
「よしやチルー」や「ゆしやチルー」という名前が一般的ですが、琉歌全集やいくつかの琉歌の研究書には「よしや(発音はゆしや)」と表記されています。
これについてはいろいろな説がありますが、説明するとかなり長くなります。
機会があればお話させていただきますが、今は琉歌全集にならい「よしや」とさせていただきます。
また、よしやの簡単な生い立ちや死後に詠んだという伝説の歌は「幽霊が詠んだウタ その1 よしや」https://enosan.ti-da.net/e9796871.htmlにあるので参考になさって下さい。
しまん とぅなどぅなとぅ(島中がしんとして静かで)
くばん すゆすゆとぅ(こば〈シュロ科の植物。沖縄の拝所などに多く生えている〉もそよそよと風に吹かれて)
つぃなじある うしぬ(どこかに繋いである牛が)
なちゅら とぅみば(鳴いているかと思うと)
「とぅなどぅな」や「すゆすゆ」など擬音の響きが豊かで、さすがよしやといった歌です。
そして、この歌には伝説があります。
それは、まだよしやが幼く、仲島の遊郭に売られる前のことです。
家にいたよしやは牛泥棒に家の牛が盗まれたことに気づき、この歌にはを詠んだところ、牛が鳴いて、場所を知らせたのです。
そして、よしやは牛を無事に取り返しました。
さて、今度は牛の歌を紹介させていただきました。
今年はもーっといい年になるといいですね。牛だけに。
では、これでものがたりはおしまい。
また次回に。
この記事へのコメント
はじめまして。とても興味深いお話しで、琉歌の事をもっと知りたくなりました。ありがとうございます。
Posted by ohana
at 2021年01月15日 13:28

コメントありがとうございます!
そして、子育て中でなかなか見れなかったので、返信が遅れてしまいました。すみません。
このような言葉を頂けて本当にうれしいです。
まだまだ勉強中で至らない点もありますが、今後とも見ていただけると幸いです(^-^)
そして、子育て中でなかなか見れなかったので、返信が遅れてしまいました。すみません。
このような言葉を頂けて本当にうれしいです。
まだまだ勉強中で至らない点もありますが、今後とも見ていただけると幸いです(^-^)
Posted by 河合えの
at 2021年04月15日 00:16
