季節の歌 冬お祝いの歌
雪の歌 その1 喜びと憧れ
お久しぶりです!えのです。
沖縄も年末に近づくと寒くなり、北風が身に染みてきますね。
さて、今回は冬の歌ということで「雪」の歌を紹介します。
「沖縄なのに雪の歌?」と思った方もいらっしゃるでしょう。
たしかに沖縄は亜熱帯気候の島なので、基本的に雪は降りません。
まれにあられが降ることがあるくらいです。
しかし、雪が降らない沖縄に、なぜか雪の琉歌が26首(内4首はあられ)があるのです。
では、なぜ雪の歌があるのか?
沖縄の人の雪への思いとは?
ものがたりをはじめましょう。
先ほども言ったとおり、まれにあられが降るくらいで、沖縄では雪は降りません。
今では移動手段も発達し、旅行などで雪を見たという沖縄県民も多いですが、昔の人は雪を見たことがある人がほとんどいなかったと思われます。
しかし、王族や士族などは中国や日本の文献を読んだり、江戸上りなどで実際に見たりして「雪」のことを知ったようです。
そのためか、雪を詠んだ歌のうち大半は作者がわかっていて、いずれも王様や王族、士族でした。
雪の歌は大きく分けて以下の4種類に分けられます。
①雪が降る様や様子をありのまま詠む
②白いものを雪に例える
③憧れや美しいものとしての雪
④辛いものや試練を雪に例える
まずここでは、①~③までを解説します。
全部解説するのはかなり長くなるので、それぞれ一首ずつ取り上げて紹介していきます。
まず、①雪が降る様や様子をありのまま詠んだ歌です。
まずはこの歌、
うふぐいぬ すぃだま(大庫理〈王城の表座敷〉の簾を)
まちあぎり わらび(巻き上げなさい、童よ)
ゆかぶ しにゅくゆる(豊年の支度をする)
ゆちぬ ふゆさ(雪が降っているよ)
城の庭に雪が降っていることをそのまま詠んでいますね。
これを詠んだのは護得久朝常(ごえくちょうじょう)という人で士族です。
なので、この歌も白楽天の「香炉峰の雪は簾をかかげて見る」という漢詩を連想して作ったように思います。
当時の士族は漢文や和文学を学んでいるので、雪の歌はその中から想起した歌も多く感じます。
ちなみに沖縄では霰が降るほどの寒い年は豊作になったそうです。なので、雪は豊作の象徴としても詠まれているものも多いのです。
次に、②は白いものを雪に例える歌です。
なんじゃうす なかい(銀の臼の中に)
くがにじく たてぃてぃ(黄金の軸をたてて)
はかてぃむてぃ あまる(はかってみると盛って余っるほどの)
ゆちぬ まぐみ(雪のような真米だ)
この歌では、白いお米を雪と例えています。
白いものを雪に例えた歌は全部で8首あり、うち6首は白いお米を例えています。
そして、お米以外のものとしては「雪の歯茎」と「雪の翁」があります。
いずれも若い女性の真っ白な歯と徳のあるお坊さんの真っ白な頭とひげを表しています。
次に③憧れや美しいものとしての雪です。
んかてぃくる とぅしゃ(向かってくる年は)
ゆがふてい いちゅてぃ(豊年になると言って)
わらてぃ ながみゆる(笑って眺めている)
ゆちぬ ちゅらさ(雪の美しさよ)
3首ありますが、2首が「雪のちゅらさ」となっています。
雪の美しさを愛でつつ、うれしいことが積もっていくことを連想している様子はほほえましいものがあります。
さて、駆け足で紹介してきましたが、いかがでしたか?
沖縄では見ない雪への憧れや雪が知らせてくれる幸福を詠んだ歌が多くあることがわかりました。
しかし、今回は紹介していない④辛いものや試練を雪に例えるがあります。
これは次回に紹介いたします。
沖縄も年末に近づくと寒くなり、北風が身に染みてきますね。
さて、今回は冬の歌ということで「雪」の歌を紹介します。
「沖縄なのに雪の歌?」と思った方もいらっしゃるでしょう。
たしかに沖縄は亜熱帯気候の島なので、基本的に雪は降りません。
まれにあられが降ることがあるくらいです。
しかし、雪が降らない沖縄に、なぜか雪の琉歌が26首(内4首はあられ)があるのです。
では、なぜ雪の歌があるのか?
沖縄の人の雪への思いとは?
ものがたりをはじめましょう。
先ほども言ったとおり、まれにあられが降るくらいで、沖縄では雪は降りません。
今では移動手段も発達し、旅行などで雪を見たという沖縄県民も多いですが、昔の人は雪を見たことがある人がほとんどいなかったと思われます。
しかし、王族や士族などは中国や日本の文献を読んだり、江戸上りなどで実際に見たりして「雪」のことを知ったようです。
そのためか、雪を詠んだ歌のうち大半は作者がわかっていて、いずれも王様や王族、士族でした。
雪の歌は大きく分けて以下の4種類に分けられます。
①雪が降る様や様子をありのまま詠む
②白いものを雪に例える
③憧れや美しいものとしての雪
④辛いものや試練を雪に例える
まずここでは、①~③までを解説します。
全部解説するのはかなり長くなるので、それぞれ一首ずつ取り上げて紹介していきます。
まず、①雪が降る様や様子をありのまま詠んだ歌です。
まずはこの歌、
うふぐいぬ すぃだま(大庫理〈王城の表座敷〉の簾を)
まちあぎり わらび(巻き上げなさい、童よ)
ゆかぶ しにゅくゆる(豊年の支度をする)
ゆちぬ ふゆさ(雪が降っているよ)
城の庭に雪が降っていることをそのまま詠んでいますね。
これを詠んだのは護得久朝常(ごえくちょうじょう)という人で士族です。
なので、この歌も白楽天の「香炉峰の雪は簾をかかげて見る」という漢詩を連想して作ったように思います。
当時の士族は漢文や和文学を学んでいるので、雪の歌はその中から想起した歌も多く感じます。
ちなみに沖縄では霰が降るほどの寒い年は豊作になったそうです。なので、雪は豊作の象徴としても詠まれているものも多いのです。
次に、②は白いものを雪に例える歌です。
なんじゃうす なかい(銀の臼の中に)
くがにじく たてぃてぃ(黄金の軸をたてて)
はかてぃむてぃ あまる(はかってみると盛って余っるほどの)
ゆちぬ まぐみ(雪のような真米だ)
この歌では、白いお米を雪と例えています。
白いものを雪に例えた歌は全部で8首あり、うち6首は白いお米を例えています。
そして、お米以外のものとしては「雪の歯茎」と「雪の翁」があります。
いずれも若い女性の真っ白な歯と徳のあるお坊さんの真っ白な頭とひげを表しています。
次に③憧れや美しいものとしての雪です。
んかてぃくる とぅしゃ(向かってくる年は)
ゆがふてい いちゅてぃ(豊年になると言って)
わらてぃ ながみゆる(笑って眺めている)
ゆちぬ ちゅらさ(雪の美しさよ)
3首ありますが、2首が「雪のちゅらさ」となっています。
雪の美しさを愛でつつ、うれしいことが積もっていくことを連想している様子はほほえましいものがあります。
さて、駆け足で紹介してきましたが、いかがでしたか?
沖縄では見ない雪への憧れや雪が知らせてくれる幸福を詠んだ歌が多くあることがわかりました。
しかし、今回は紹介していない④辛いものや試練を雪に例えるがあります。
これは次回に紹介いたします。